September 2013

September 25, 2013

刺すアリ

少し前に、社内で面白い検体が回ってきました。
暇な時でいいよ、とのことだったので、本当に暇な時に同定しました。
その時の検体がこちら。

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キイロシリアゲアリの新女王アリです。
ハチのようにも見えますが、触角や腰の周りを見るとアリの仲間です。
ただ、分類学的にみると、ハチもアリも同じ膜翅目でくくられます。


ところでハチとアリの区別点と言えば、羽と針の有無という答えが多そうです。
しかし、羽は繁殖期に出現する新女王と雄アリにちゃんとついています。
また、アリなのに針を持つ種も意外に多くいます。

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このキイロシリアゲアリもそういった針を持つ種類です。
試しにピンセットで胴体を軽くはさんでみると、腹部をぶん回して反撃してきました。
腹部は意外にフレキシブル、野球の投手がサイドスローで投げる時の腕の軌道です。
ボクシングならフックを放つ時の腕の振りに似ています。

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腹部と針は上方向にもある程度角度をつけられます。
また、針の先から液体を飛ばすことも可能です。
アグレッシブな印象を受けますが、下手にいじめない限り、刺されません。


アリは種類により繁殖期が決まっており、季節ごとに色んな種類の羽アリが見られます。
その時に出る主な被害は窓ガラスに大量に付着して気持ち悪いといったものが挙げられます。
そんな時は窓用殺虫剤PGガードが効果的ですので、是非お試しいただければと思います。


1匹や2匹でひょっこりやってきた程度なら、箒とちりとりで回収して庭へ逃がしてやるのも手です。


前田



tojiyan at 21:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 虫ムシ日記 

September 17, 2013

ありがた迷惑

夏バテは台風とともに去り、食欲の秋がやってまいりました。
動物によっては冬を乗り切るための食糧集めを始めるものもいます。
そして、その大事な貯蔵食糧に沸くのがこちら。

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タバコシバンムシ。
乾燥した植物系のものなら、畳のい草だろうがタバコの葉だろうが何でも食べます。
ところが、この何でも食のシバンムシだけを専門に狩る昆虫がいます。

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それがこちら、シバンムシアリガタバチ。
名前の通り、アリの形をしたハチです。
アリの中でもヒメアリによく似ていますが、触角や腰回りなどに明確な区別点があります。

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ハチの名の通り、お尻には産卵管兼の毒針が付いています。
これをチクリと刺してシバンムシの幼虫を麻酔します。

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首尾よくシバンムシを麻酔したアリガタバチは、シバンムシの体表面に産卵します。
そして孵化した幼虫は、シバンムシの体を食べながら成長します。
写真の中央に見える黄色い粒(3匹います)がアリガタバチの幼虫。


ここまで書くと、害虫シバンムシを退治してくれるいい昆虫・・・のイメージです。
しかし、シバンムシの大量発生に伴い本種が大発生すると、人の側にも被害が出始めます。
というのは、偶然触れてしまったり、手でつかんだりすると、反撃で刺されてしまうからです。


被害の様子からダニなどと混同されがちですが、ダニとは防除対策が異なってきます。
ポイントは色々とありますが、まずは全ての原因であるシバンムシの駆除から始めましょう。


前田


シバンムシのモニタリングにドームトラップ

tojiyan at 20:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 虫ムシ日記