May 01, 2018
騙し騙されガガンボ
連休は実家の名古屋に帰省してのんびりしていました。
虫屋さんなので「キセイ」って打つと「寄生」が一番に出ます。
さて、「こんな虫がいたよー」と教えてもらった下の子。みなさん何の虫かわかりますか?
まず翅が2枚、平均棍(翅の下側にある、先端が膨らんだ小さな棒)が2本なので、ハエ(双翅目)の仲間です。
双翅目は触角の節がたくさんあるか、少ないかでグループが分かれるのですが、いわゆるハエっぽいか、蚊っぽいかの違いです。この子は糸状の触角なので長角亜目(蚊っぽいグループ)です。
あとは翅の脈に中室があったり、異様に脚が長かったりする点などなど・・から
「ガガンボ科」
です。
ガガンボは大きく目立つ種も多く、この写真の子は脚を伸ばすと手のひらサイズ以上になります。
時に「吸血するのでは!?」と恐れられたりしますが、血は吸いません。
何も食べないか、水や花の蜜をエサにしているようです。
ヒトへの被害はほぼありませんが、強いて言えば体が非常に脆いために折れた足先などが異物として製品に混入してしまう危険性があげられます。
ガガンボの標本づくりは難しく、慎重に作っていてもすぐに脚がポロポロと取れてしまいます。脚が長いので標本箱のスペースも取りますし、あまり気乗りのしない虫です。
現場レベルでは足の長い蚊っぽい虫を見たら「ガガンボですね」でおわりですが、ガガンボっぽい虫には実は様々な「科」が含まれるので、安易に「ガガンボ科」と言えないのがコワイところ。
僕も詳しくないので割愛しまくりますが、冬場によく見られる「ガガンボダマシ科」を紹介します。
捕虫紙に捕まったガガンボダマシ。見た目はTHEガガンボですね。
前翅を拡大。翅の脈は虫の分類を知るための情報が詰まっています。
ガガンボダマシとガガンボを分けるのは、赤い矢印の脈「臀脈でんみゃく」です。
脈にもそれぞれ名前が付いているのです!ひええ
この脈が写真のように折れ曲がっていたらガガンボダマシ、まっすぐ伸びるようであればガガンボ!
…と思っていただければ大丈夫です。
ちなみに「ガガンボモドキ」という虫も存在するので、たまにごっちゃになる時があります。
ガガンボモドキはハエではなくシリアゲムシの仲間。
遺伝的に遠い虫が同じ様な形になるのはとても興味深いですね!
今日から使える虫トリビア、飲み会の席などでぜひご披露ください。
(何言ってんだこいつ、という目で見られます)
川竹
虫屋さんなので「キセイ」って打つと「寄生」が一番に出ます。
さて、「こんな虫がいたよー」と教えてもらった下の子。みなさん何の虫かわかりますか?
まず翅が2枚、平均棍(翅の下側にある、先端が膨らんだ小さな棒)が2本なので、ハエ(双翅目)の仲間です。
双翅目は触角の節がたくさんあるか、少ないかでグループが分かれるのですが、いわゆるハエっぽいか、蚊っぽいかの違いです。この子は糸状の触角なので長角亜目(蚊っぽいグループ)です。
あとは翅の脈に中室があったり、異様に脚が長かったりする点などなど・・から
「ガガンボ科」
です。
ガガンボは大きく目立つ種も多く、この写真の子は脚を伸ばすと手のひらサイズ以上になります。
時に「吸血するのでは!?」と恐れられたりしますが、血は吸いません。
何も食べないか、水や花の蜜をエサにしているようです。
ヒトへの被害はほぼありませんが、強いて言えば体が非常に脆いために折れた足先などが異物として製品に混入してしまう危険性があげられます。
ガガンボの標本づくりは難しく、慎重に作っていてもすぐに脚がポロポロと取れてしまいます。脚が長いので標本箱のスペースも取りますし、あまり気乗りのしない虫です。
現場レベルでは足の長い蚊っぽい虫を見たら「ガガンボですね」でおわりですが、ガガンボっぽい虫には実は様々な「科」が含まれるので、安易に「ガガンボ科」と言えないのがコワイところ。
僕も詳しくないので割愛しまくりますが、冬場によく見られる「ガガンボダマシ科」を紹介します。
捕虫紙に捕まったガガンボダマシ。見た目はTHEガガンボですね。
前翅を拡大。翅の脈は虫の分類を知るための情報が詰まっています。
ガガンボダマシとガガンボを分けるのは、赤い矢印の脈「臀脈でんみゃく」です。
脈にもそれぞれ名前が付いているのです!ひええ
この脈が写真のように折れ曲がっていたらガガンボダマシ、まっすぐ伸びるようであればガガンボ!
…と思っていただければ大丈夫です。
ちなみに「ガガンボモドキ」という虫も存在するので、たまにごっちゃになる時があります。
ガガンボモドキはハエではなくシリアゲムシの仲間。
遺伝的に遠い虫が同じ様な形になるのはとても興味深いですね!
今日から使える虫トリビア、飲み会の席などでぜひご披露ください。
(何言ってんだこいつ、という目で見られます)
川竹